· 

センサー計測では非常に重要な基本的テクニック オフセット補正(ゼロ点補正)とは

なぜオフセット補正が必要なのか

センサーは「ゼロでも出力が出る」

 

多くのセンサー(アナログ出力)は、何も入力がない状態でも微小な電圧を出力してしまいます。これは以下の理由によります:

  • センサーや回路の誤差(アンプのバイアス電流など)
  • センサーの個体差(製造誤差)
  • 温度変化やノイズ
  • DAQ(データ収集機)の入力バイアス

これらの影響で、たとえば「入力ゼロ」のはずが0.02V出るということがよくあります。

 

オフセット補正(ゼロ点補正)の基本的なながれ

1】ゼロ点の測定(キャリブレーション)

  • 計測対象(荷重、圧力、温度など)を接続しない状態でセンサーの出力を読み取る。
  • たとえば「0.02V」なら、これをオフセット値として記録。

2】補正処理をかける

  • 実際の計測値から、オフセット分を引く。
  • 補正後 = 測定値 オフセット

 

よくある注意点

  • 温度変化によってオフセットがズレることがある 定期的に再補正が必要。
  • センサーの種類によってはオフセットをハード的に補正できるトリマ(半固定抵抗)がある。
  • 複数チャンネルのDAQではチャンネルごとにオフセットが異なる場合がある 各チャンネルごとに補正値を持つ。

  PC計測ソフトウエア、LabdaqLoggerによるオフセット補正の実行

LabdaqLoggerを起動します。使用DAQADユニット)は既に設定済みとします。

Step1         オフセット補正をしたいチャンネルを、計測対象(荷重、圧力、温度など)を接続しない状態にセットします。任意複数チャンネルを同時にオフセット補正できます。

                                  注意点として

補正時には対象物を接続せず、完全な「ゼロ状態」で測定してください。

DAQやセンサーによっては、電源ON直後は値が安定しないこともあるので、

安定してから測定を始めましょう。

 

Step2    この計測対象を接続しない状態で計測実行。フリー状態の出力を確認。

以下、オフセット補正対象チャンネルCH0 出力が約1.5V

 

 

Step3  画面上右の「現在値0原点セット」ボタンをクリックします。3秒程度の計測値の平均から補正値(オフセット)を計算し保存します。「現在値0原点セット」ボタンでリセット、キャンセルできます。

Step4  計算結果の補正値は、メインメニュー「計測ツール」>「スケールリング設定(式により)」をクリックし、確認できます。手動でも設定できます。CH001.545Vに設定されています。オフセット補正不要のチャンネルは有効オンのチェックマークをオフにします。

オフセット補正(ゼロ点補正)の確認

 

「高速計測スタート」ボタンをクリックで計測します。計測対象(荷重、圧力、温度など)を接続しない状態の出力が0Vであることが確認できます。