✅ なぜオフセット補正が必要なのか
● センサーは「ゼロでも出力が出る」
多くのセンサー(アナログ出力)は、何も入力がない状態でも微小な電圧を出力してしまいます。これは以下の理由によります:
- センサーや回路の誤差(アンプのバイアス電流など)
- センサーの個体差(製造誤差)
- 温度変化やノイズ
- DAQ(データ収集機)の入力バイアス
これらの影響で、たとえば「入力ゼロ」のはずが0.02V出るということがよくあります。
✅ オフセット補正(ゼロ点補正)の基本的なながれ
【1】ゼロ点の測定(キャリブレーション)
- 計測対象(荷重、圧力、温度など)を接続しない状態でセンサーの出力を読み取る。
- たとえば「0.02V」なら、これをオフセット値として記録。
【2】補正処理をかける
- 実際の計測値から、オフセット分を引く。
- 補正後 = 測定値 − オフセット
よくある注意点
- 温度変化によってオフセットがズレることがある → 定期的に再補正が必要。
- センサーの種類によってはオフセットをハード的に補正できるトリマ(半固定抵抗)がある。
- 複数チャンネルのDAQではチャンネルごとにオフセットが異なる場合がある → 各チャンネルごとに補正値を持つ。
✅ PC計測ソフトウエア、LabdaqLoggerによるオフセット補正の実行
LabdaqLoggerを起動します。使用DAQ(ADユニット)は既に設定済みとします。
Step1 オフセット補正をしたいチャンネルを、計測対象(荷重、圧力、温度など)を接続しない状態にセットします。任意複数チャンネルを同時にオフセット補正できます。
注意点として
補正時には対象物を接続せず、完全な「ゼロ状態」で測定してください。
DAQやセンサーによっては、電源ON直後は値が安定しないこともあるので、
安定してから測定を始めましょう。
Step2 この計測対象を接続しない状態で計測実行。フリー状態の出力を確認。
以下、オフセット補正対象チャンネルCH0の 出力が約1.5V。

Step3 画面上右の「現在値0原点セット」ボタンをクリックします。3秒程度の計測値の平均から補正値(オフセット)を計算し保存します。「現在値0原点セット」ボタンでリセット、キャンセルできます。

Step4 計算結果の補正値は、メインメニュー「計測ツール」>「スケールリング設定(式により)」をクリックし、確認できます。手動でも設定できます。CH00は1.545Vに設定されています。オフセット補正不要のチャンネルは有効オンのチェックマークをオフにします。

✅オフセット補正(ゼロ点補正)の確認
「高速計測スタート」ボタンをクリックで計測します。計測対象(荷重、圧力、温度など)を接続しない状態の出力が0Vであることが確認できます。

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